捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「……ガキレベルですね。いい年して」

「え?」

「……まだ元気らしいです。ていうか、それもこれも、琴音さんのせいですけど」

「はいっ!?」

「それだけ我慢してたってことです」

「……!」


驚いた私を見て、惣介さんは柔らかく微笑む。


「……琴音さんを抱くのは、ちゃんとけじめをつけてからと決めていたんですよね」

「……けじめ、ですか?」

「ちゃんと俺の全てを知ってもらってからじゃないと、琴音さんに触れる資格はないってずっと自分を戒めていたんです」

「……」

「……でも、本当はずっと触れたくて仕方なかった」

「惣介さん……っ」

「やっと念願叶いました」

「……はい……っ、私も、です……っ」


私だってずっと惣介さんに触れたかった。

……恥ずかしいけど、私だってずっとこうやって惣介さんの熱に包まれたかったんだ。


「……でも……、まだ全然足りません」

「……えっ?」

「琴音さんには無理させない程度に頑張りますから。俺のことを受け入れてもらえませんか?ね、いいでしょう?一緒に気持ちよくなりましょう?」

「なっ、何でそうなるんですか!?だ、ダメで」

「聞こえませーん!」

「ひゃあ……っ!くっ、くすぐった……っ」


……その日は結局、惣介さんと二人、ぐだぐだ、むにゃむにゃと、ベッドの上で過ごしてしまった。

そんな時間はどれだけ幸せと言っても言い足りないくらい、幸せだった。



……次の日は二人とも「身体中痛い!」と言い続けたのは、言うまでもないけど。

本当に、仕方のない二人だ。

 
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