捨てる恋愛あれば、拾う恋愛あり。
 

「これって、何万年もかけて作られてるんですよね?」


確か、水の中に石を作る元が入っていて、それが何万年もかけて蓄積していって石になっていく、とかだった気がする。

中学生の時の地学の授業で習ったことをぼんやりと思い出す。

10何年も前のことなのに、よく覚えてた、私!


「ですね。これは上と下から伸びてきたものが繋がったもので、相当長い時間かかって作られたものですね。すごいですよね。歴史を感じません?俺たちが生まれる前からずーっとここにいて、この場所の様子を見守ってきて」

「……あ、そっか……。そういうことですよね」

「ずっと見守っていてくれるなんて、無機物ですけど、すごく神秘的だし、何か温かい感じがします」

「……はい。あっ、石の上にも数万年、ですねっ?」

「え?」

「え?」

「……ぷっ」

「え?」

「くくっ、琴音さん、それ変です。しかも、長すぎるでしょ」

「え、そうですか?」


はい、と言いながら、くすくすと笑う惣介さんにつられて、私も笑ってしまう。


「あっ、神秘的と言えば、さっき通ってきた段々畑みたいなのもおもしろかったです」

「あれも圧巻でしたよね~。自然にできたものとは思えないくらい整っていて。きっと人口でもあんなに綺麗には作れませんよね。自然の芸術作品です」

「水も透明で澄んでて。すごく綺麗でした。……あっ、あれもすごい!」


私は次々と現れる“自然の芸術作品”に目を奪われる。

 
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