航平さんと雨芽ちゃん


「航平。
私は結局アンタの親やから、幸せになれるなら別に結婚しなかろうと、仕事で出世狙おうと辞めようと応援する。」
「何急に?」
「40過ぎた息子にこんな事言う親居らんやろうけど。
娘くらい年が離れた子と結婚したって良いし。」
そこまで来て、急に突飛な発言をしだしたお袋の真意が少し読めた。


「何言ってんだよ。
雨芽はそういうんじゃ…」
「気づいてるんやろう?
雨芽ちゃんに対する自分の気持ち。
けど、必死に打ち消してるんやない??
別にこのままでアンタが後悔せんなら良いよ。
でも、私から見たらアンタ、このままにしたら多分後悔する。
アンタだけじゃなく、雨芽ちゃんも。
よく考え。」
俺の言葉を遮り、真っ直ぐ俺の目を見て冷静に諭すようにそう言うと先に歩き出した。

俺も何も言う事なく、お袋の後ろを歩きながら言葉の意味を考えた。


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