航平さんと雨芽ちゃん
それから数日家に居て、ある日家に帰ると雨芽しかいなかった。
「あれ?お袋は??」
「もう十分楽しんだし、お父さんが心配だから帰るって。」
「相変わらず急だな。
直接言って帰れよ。」
雨芽からお袋の言葉を聞いて、呆れた。
「フフッ」
「何だよ?」
「いや、初めて航平のお母さんに会った日に、お母さんも航平に呆れてたなぁって思って。」
急に笑い出すから聞いてみると、そんな答えが返ってきた。
「航平、良いお母さんだったね。
あっ、そうだ!伝言。
‘アンタの思うように頑張れ’って。」
「そうか。」
「何を頑張るの?」
「秘密。」
あれから一応考えてはいた。
雨芽に対しての感情がどういうものなのか。
伝言を聞いて不思議がる雨芽にはまだ教えてやらない。
でも、お袋のせいで確実に気持ちは自覚し始めてしまった。