航平さんと雨芽ちゃん


「おたくこそ、どちら?
コイツの何なんですか??」
「俺は雨芽の」
「あの!
話は分かったけど、今日は帰ってください。
もう逃げないので大丈夫ですから。
あの人にもそうお伝えください。」
俺が雨芽との関係を答えようとすると、遮るように雨芽が男にそう言った。


「分かった。
今日は帰るよ。
雨芽、あの人が待ってる。
だから、必ず一度は戻れ。」
そう言い終えると、男は道路の脇に停めてある、いかにもな黒塗りの高級車の後部座席に乗り込んだ。

そして、そばに立っていた無表情の威圧感のある男は後部座席のドアをしめて、運転席に回り込んで乗り込むと静かに車を発進させた。 


「雨芽?
聞きたい事が幾つかある。」
「…うん。
私も言わなきゃいけない事、確認したい事とか諸々話がある。」
真剣に切り出すと、雨芽も真っ直ぐ俺を見てそう言った。

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