ロフトの上の冷たい毒 星のない漆黒の空の下
ピョン太をゲージから出して、皆で抱っこしたりしてたら。
亜樹斗、コンコン咳が出始めたのね?
ああ、風邪だねえ、お婆ちゃんが風邪引いてたから、移っちゃったのかもね、とかパパと呑気に話してたの。
でもね?
亜樹斗の咳、夜になるにつれ、どんどん酷くなってきて。
病院もやってないし、市販の小児用咳止め薬飲ませたの。
でも、全然、効かなくて。
食欲はあったのよ。夕飯はちゃんと食べて、お風呂入ったら一旦は治まったのよ。
でね?話はここからよ』
私にほとんど相槌を打たせず、敦子は一方的にまくし立てる。
自分でも止められなくなってしまうのだ。
『夜中に、ゲホゲホ咳き込む音がして。
誰だろう、パパかなって起きたらさ、亜樹斗なの。
真っ赤な顔して、涙流しながら、ゼイゼイ苦しそうな息してて。
生まれて初めてよ、こんなこと。
びっくりして、パパ叩き起こしたわよ。
リビングのソファに亜樹斗、座わらせて様子見てたんだけど、身体全体でなんとか呼吸してるって感じですごく苦しそうで。
たまに咳が出ると、止まらなくなって。
死んじゃうんじゃないかって思うくらい。
夜、12時過ぎていたけど、救急病院に連れて行ったの』