水のない水槽
――せめてもうちょっと鼻が高かったらなぁ。。


鏡に映った顔を見ながら、ため息をつく。


お姉ちゃんみたいに顔立ちがハッキリした美人だったら、告白できてたのかな??


胸の奥がチクッと痛む。


先輩の卒業式の日。わたしは、校門の前で待っていた。

目的はもちろん、先輩の第2ボタン。手にピンクの封筒を握り締め、ただひたすら先輩が出てくるのを待っていて――。

やっと出てきた先輩の隣りにいたのは、嬉しそうな顔で笑うお姉ちゃん。

先輩の腕が、お姉ちゃんの肩に伸びて……止まった。

もう3年も前のコトだけど、あの時の光景が未だに頭から離れない。


――いくら、お姉ちゃんにラブラブの彼氏がいたとしても。
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