水のない水槽
そんな他愛ないやり取りの合間にも、刻々と時間はどんどんすすんでいき……


「やだ、もうこんな時間!!」


デザートのチーズケーキが焼き上がると時計の針は6時半を指していた。


「朔乃っ、お母さん、お化粧直すから、雪乃の分、避けておいて!」


……やっぱり、こうなるんじゃん。

バタバタとエプロンを外すお母さんを見ながら、そう呟いた。

「お母さんこそ、お姉ちゃん、そっくりだよね、そういう時間配分できないとこ~」


ドレッサーに向かう背中に、そんなだめ押しの言葉も付け加えて。
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