【完】恋の太陽、愛の月
お互いの涙の味が口の中に広がる。
ひたすらしょっぱいキスの味だった。
最初、楓は俺を引き離して逃げようとしていた。
でも、だんだんと力を抜いて俺に身を任せるようになった。
それが何だか愛おしくなる。
心のどこかでひなたの顔が何度も浮かんだ。
だけどそれを振り払い、俺は俺を見てくれる楓を見つめた。
太陽とひなたにも見えるようにわざとキスを激しくする。
「メガネ。邪魔だ」
「・・・せん、せ」
俺は自分のメガネを外して、楓のメガネも外した。
その後は一心不乱に楓に触れた。
メガネを外した楓の顔は、あまりにも無防備な顔をしていた。
可愛い。
そう心から思った。
ここが観覧車だということをわきまえて、地上に着くまでに楓の首筋に小さなキスマークを付けて事を終えた。
楓は地上に着いてからメガネを慌ててかけて、ずっと下を向いていた
先に降りていた太陽とひなたが俺らの方に指をさす。
「別にいいよ。もっと冷やかしてくれても」
俺はひなたへの恋心を封印して、
楓を好きになろうと決心した。