【完】恋の太陽、愛の月
観覧車はゆっくりと動く。
俺の鼓動は早い。
それよりももっと染谷の心臓は早鐘をうっている。
いつの間にか俺は染谷を抱きしめかえしていた。
染谷をひなたの代わりとして受け入れた時とは何かが違う。
「先生・・・。私、先生のこと大好きだよ」
声が震えている染谷を俺はもっと強く抱きしめた。
きっと泣いているんだろう。
顔はうまく見えない。
「ごめんなさい。本当・・・。私は先生を悲しませてばかりだね」
俺のことを好きになってくれて、
一番辛い立場のはずなのに、俺のために泣いてくれる。
「私は、先生の支えになりたいって思った。でも全然なれてないし。ひなたさんの代わりなんてもっと務まってないよね。あんなに素敵な人の代わりとか、私考えられないや」
どうしてこいつはこんなにも・・・。
「楓」
「・・・今はひなたさんたちに聞こえてないから、名字でいいのに」
「もう、いいから」
「・・・」
「今からお前は本物の彼女だ」
「・・・冗談はやめてください。先生」
その言葉を塞ぐように、俺は楓の唇に自分の唇を重ねた。