ヒールの折れたシンデレラ
＊＊＊

宗治が帰ってくる。

それだけで千鶴はスキップして出社したくなるほどだった。

園美のこともあり不安で何度か電話を入れてみるもののタイミングが合わずに、メールだけのやり取りが五日間続いた。

早く秘書課に配属になった理由もきちんと話をして、黙っていたことを謝りたかった。

今日の午前中の便で日本に到着して午後には出社してくる予定になっている。

特に約束をかわしているわけではない。けれど宗治の顔をみればこの五日間で感じていた寂しさが和らぐはずだ。

千鶴は今か今かと宗治の顔が見えるのを楽しみにしていた。

すると秘書課に勇矢が入ってくる。

「お疲れ様です課長」

疲れたようすの勇矢に声をかける。

すると「ちょっとこっちに」と給湯室に呼ばれた。

帰ってきてそうそうどうしたのだろうか？急いで勇矢の下に駆け寄る。

「宗治の様子が少しおかしい。ちょっと様子を見てきてほしい」

宗治と呼んだことから、親友としての立場で言っていることが理解できた。

そんな様子に不安を覚えたが、日本茶を準備する。
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