ヒールの折れたシンデレラ

(2)ヒールが折れても

宗治は千鶴の手をしっかりと握って離さなかった。

千鶴が社員の目を気にして離れようとしても決して許されず、そのたびに余計にきつく握られた。

宗治の車に乗りこみ連れてこられたのは宗治のマンションだった。



部屋に入ると宗治は一人掛けのソファに腰掛けて千鶴を手招きした。

千鶴も三人掛けのソファに座る。

「で、返事は?」

せかすような宗治の言葉が嬉しくないわけじゃない。

だけど千鶴は宗治の胸に飛び込む前に確かめておかなければいけないことがあった。

どう切り出そうか迷っている千鶴に宗治のほうから声がかかる。

「でもその前にきちんと話をしておかないといけないな。これ読んで」

手渡されたのは一通の空色の封筒だった。

それを開いて目を通す。

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