ノーチェ


でも、薫と長く過ごしてただけの事はある。

薫が今したい事とか
百合子さんは全てを理解してるように見えた。

血の繋がらない姉と弟。


だけどやっぱり、互いを見る目は優しさを含んでいる。

思い合ってるんだな、と第三者の視線で思った。





…あたしも、薫のように桐生さんの幸せを願えるといいな。

今はまだ無理でも…いつか、きっと。



今の弱さのままじゃ
まだ、出来ないから。

…あと少しだけ。






コポコポとおいしそうにグラスに注がれた赤ワインが、あたしの目の前に置かれる。

滅多にワインなど飲まないあたしは
薫たちの見よう見まねでグラスを揺らして香りを嗅いでみた。



そんな時、百合子さんの視線がワインからあたしの背後へと向けられて。


「勇人!」

と口にした百合子さんにあたしの視線も後ろへ向いた。



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