真っ直ぐ
「清水くん…」
暗やみの中、担当の場所に向かう途中川崎が俺を呼ぶ。
「何?」
振り返ると川崎が涙目で言う。
「服の裾…掴まっていい?」
「へ?」
思いも依らぬ頼みに、思わず聞き返すと川崎は言う。
「あたし実は暗いとこ怖くて…」
肝試しって川崎の案だろ?
そう思ったが、さすがに口には出さなかった。
震えてる川崎の手を掴んで分担場所へとまた歩きだす。
「ごめんね」
「いいよ」
「…ありがと」
お礼なんていいのに。
早紀と別れたあの頃、俺は川崎にたくさん救われた。
恥ずかしくて言えないけど、本当に救われたんだ。