真っ直ぐ
「由宇また川崎みてる」
キャンプ二日目の朝、珠貴が言う。
「そ?」
言われてみればそうだけど。
「惚れたの?」
「まさか」
そうは言ったものの、正直焦る。
「お前には無理だよ」
…無理?
突然そんなことを言う珠貴に問い詰めようとしたときだった。
「清水くん!」
遠くの方で川崎に呼ばれる。
俺はとりあえず珠貴を放置し、川崎の元へと向かった。
「はい、コレ清水くんの」
手渡されたのは、小さなお菓子。
「昨日のお化け役、お疲れさまってことで」
いつものように可愛く微笑む。
「ありがと…てか清水でいいよ?俺も呼び捨てだし」
少しでも近付きたくてそう言うと、川崎は頷いて『わかった、清水』と言った。