真っ直ぐ



「清水〜!!」


久しぶりに聞く、あの子の声。


俺たちは同じ県内の進学校に通ってた。


「久しぶりじゃない?なかなか遇わないね、同じ校内」


あの時と変わらない笑顔。


「そうだな」


それだけ返す。


我ながら冷たい奴。


「ねぇ野球部ってやっぱり休日一日練習?」


「うーん、基本的にはね。今度の日曜は午前だけど」


そう言うと、川崎は目を輝かせて言う。


「じゃぁ気が向いたら日曜の午後体育館来てよ。練習試合なんだ」


噂で聞いた話では、川崎は女バレのキャプテン。


「脇田先輩来ねぇの?」


無意識に、言ってしまったことば。


そして気付く。


自分の諦めの悪さに。










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