Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎が体育館へ向かっていると、背後から二俣が追いかけてきた。


「おおぉ!遼ちゃん。どこ行ってたんだよ?みのりちゃん、泣いちゃって大変だったんだぜ。」


 二俣の報告は、ドキン!と遼太郎の胸に響き、その中にある罪悪感をさらに濃くした。


「先生が?泣いた……?」

「そうだよ。誰かが迷路の中でひどく驚かしたみたいでよー。それが、みんな俺のせいにするんだから!ひどいだろ?俺は何もしてねーって、言ってんのに!!」


 憤慨している様子の二俣を見て、遼太郎は「実は俺が…」とは、到底言い出せなかった。


 でも、泣いてしまうほど恐ろしく嫌な思いをさせたみのりには、ちゃんと言って謝らなければならないだろう。

 何より、誰がしたのか判らない状態では、不安に違いない。
 きちんと謝ることが、潔い男のけじめのつけ方で、こんな騒動を起こしてしまった責任の取り方だ。


 そうは思ってはいたが、遼太郎は決断をなかなか行動に移せず、メールを打っては文面を消し、メールの送信ボタンを押すことにも逡巡した。
 そして、深夜になってようやく、思い切ってみのりへの謝罪のメールを送った。


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