Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりからも思った通りの、思いやりのあるメールが届いた。これからの日常でも、何もなかったかのように配慮してくれるだろう。

 でも、遼太郎が気になるのは、みのりが心の中では、どんなふうに思っているか……だった。


――あんなことをしたせいで、〝ヘンタイ〟だって思われて、先生に幻滅されたらどうしよう……。


 そう考えただけで死んでしまいたい気分になってくる。


 それに、遼太郎の中に残るみのりの感覚……。
 いつまでもそれが、遼太郎を苛んでいた。


 いつも近くにいたからこそ、抱きしめた瞬間に〝仲松先生〟だと判った。
 だが、いくら近くにいても解らない感覚が、触れてみなければ解らない感覚が、あの瞬間一気に遼太郎を満たした。



 そもそも、遼太郎は今まで女の子と付き合ったことがない。
 告白されたことはあったが、好きでもない子と付き合う気にもなれず、ラグビーという夢中になれるものがあったので、恋愛にも興味はなかった。
 だから、当然のように女の子に触れたこともなく、胸を触るなんて想像したこともなかった。

 幸か不幸か、遼太郎にとってみのりが初めての抱擁の相手だったことになる。



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