Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「夏休みが終わったら、3年生はいよいよ受験に向けて本番になってくるねー。……ましてや、推薦組はこの1・2か月が正念場だよね?」


 という現実を持ち出すと、生徒たちは途端に神妙な顔つきになった。


「ということで、まずは夏休みの課題よ!これを出さないことには、始まらないからね。今日この後、提出して下さいね!」


 生徒の中の数人が、悲嘆にくれたため息を漏らしたので、みのりはそちらの方を見遣った。


「…何?もしかして、課題やってないの?」

「だって、みのりちゃん。多すぎじゃね?」


 二俣が口を開く。確かに彼は、部活もあったし、他教科の課題もあっただろうから、大変には違いなかった。


「でも、ほぼ2か月前に渡してるんだけどなぁ~。」


みのりは怪訝そうな顔をして、二俣を見た。


「まあ、今日出せない人は、少なくとも2・3日中には提出してね。あんまり遅いと減点対象になるから気をつけて。……さて。」


と、授業に入ろうとする。


――よし!いい感じ。普通に授業ができそう……!


 みのりは教卓の前で、これから配布するためのプリントを確認しながら、心の中で拳を握った。


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