Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「覚えてない?二俣くんの彼女の隣にいた子。水色の洋服着てた。」
「ああ…….。」
とは言ったものの、遼太郎の記憶は極めてあいまいだった。あのときは私服で、今日は体操着を着ているし、まるでイメージがかぶらない。
「先生、よく判りましたね。」
首筋に付いた血を拭き取ってもらいながら、遼太郎がそう言うと、みのりは柔らかく笑った。
「生徒の顔を覚えるのは大事なことなのよ。なかなか覚えられない子もいるけどね。でも、あの子、この学校の生徒だったのね。二俣くんの彼女は御幸高校の生徒って言ってたけど……。」
その時、放送があり、体育大会のフィナーレを飾るフォークダンスの隊形になるようにと言っている。
この放送を聞いて、救護テントにいる生徒たちもグラウンドへ向かい始め、テントの中には遼太郎とみのりだけになってしまった。
「あら、フォークダンス?もう始まっちゃうの?狩野くん、どうする?出たい?もう血が止まってるなら、出てもいいんじゃない?」
フォークダンスという響きに少し興奮して、みのりは遼太郎に話しかけた。
「いえ、別に出なくてもいいです。」
遼太郎があまりにもサラッというので、みのりは遼太郎の目を覗き込む。