Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
その時、一人の女子生徒が救護テントを覗き込んだ。その様子に気づいたみのりが、目を向ける。
「どうかした?気分悪い?」
声をかけると、遼太郎も女子生徒の方に目をやった。女子生徒はあわてて首を横に振って走り去る。
その不可解な行動に、みのりは首をひねりながら改めて周囲を物色して、
「これ、ガーゼがあるから…」
と、手洗い用のタンクの水を使ってガーゼを濡らし、ギュッと絞って遼太郎の正面に来た。
まず、顔にこびりついた血を拭き取る。固まっていてなかなか取れないので、みのりは左手で遼太郎のうなじに手を添え、頭が動かないようにして擦り取った。
みのりの顔がすぐ近くにあるので、遼太郎は緊張して表情を硬くする。
その微妙な変化を、みのりは察して、
「動かすと痛い?」
と、様子を窺う。
「いえ……。」
遼太郎は気の利いたことが言えず、短く答える。
しばしの沈黙。
「そういえば、さっきの子…」
拭き取り作業をしながら、みのりが口を開いた。
「この前、ラグビーの試合に応援に来てたよね。」
「え……!?」
みのりの意外な発言に、遼太郎は素直に驚いた。