Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 みのりはホッとして、胸をなでおろした。

 あまり進路指導のことは分からないみのりだったが、もう10月になろうかというのに選考中ということは、遼太郎以外にも法南大学を志望している生徒がいるのかもしれない……、と思った。


「じゃあ、今度の期末考査は、いっそう大事だね。まだ時間はあるから、頑張らなきゃ!」


 みのりが胸中の複雑さを隠すように、両手に拳を握ってガッツポーズをすると、遼太郎は幸せそうに笑った。

 以前は励まされるとプレッシャーを感じて恐縮していた遼太郎だったのに、今日のその嬉しそうな笑顔に、みのりは意外さを感じ、頼もしささえ感じた。


 その時、渡り廊下を澄子が通りかかった。
 楽しそうに会話をする二人の様子を見て、少し安心したような顔をして近づいて来る。


「みのりさん、この前の全県模試の結果、返って来てるよ。」

「ホント!?」


 澄子の報告に、みのりはすぐさま反応して、遼太郎を見つめた。

 前回の全県模試はマーク式だったので、みのりは採点しておらず、遼太郎がどのくらい出来ていたのかは、データが返ってこないと分からなかった。



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