Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「よし!今からちょっと見せてもらいに行ってみよう!狩野くんも一緒に来て!」
みのりは立ち上がると、足早に進路指導室へと向かった。遼太郎も言われるがまま、みのりに付いていく。
薄暗くなった廊下には、進路指導室の明かりが漏れていた。
廊下に遼太郎を待たせ、みのりだけが室内に入っていき、中で何やら進路指導主任と話をして、データ用紙をめくっている。
みのりの手が止まり、指で何かをたどって確認しているようだ。
「ヤッターーーーっ!!」
みのりは両手を胸元で拳に握り、データ用紙を放り出して、進路指導室を飛び出してきた。
「すごいよ!狩野くん!!日本史94点だった!この学校の3年生全体でも、5番に入ってる!!」
自分が思ってもみないような高得点が取れて、遼太郎は嬉しいことには違いなかったが、みのりのような歓喜とまではいかなかった。
口元をほころばせ、ただ頷く。
「やればできるんだよね。努力が実ったね。」
夏休みのみのりの厳しい個別指導を思い出して、違った意味で遼太郎は笑った。