Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「先生、秋季休暇はどうするの?実家に帰るの?」
明日から秋季休暇という日、授業が終わって職員室へ戻ろうとするみのりに、宇佐美が声をかけた。
「えっ?秋季休暇?実家に帰るわけないでしょ。うちの親、うるさいんだから。そうねえ、どうしようか…….。と言っても、100周年記念式典の準備があるから、部活や打ち合わせがあるんだけどね。」
「ふーん、記念式典って、いつあるの?」
今度は、平野が口を開く。この平野、期末考査はかなり悲惨な状況だった。
「あら、知らないの?秋季休暇が終わってすぐよ。同窓生の偉い政治家の先生も来るんだから、準備も大変なのよー。」
みのりはうんざり…という風に、口をへの字にした。
「澄ちゃんとは遊びに行ったりしないの?」
宇佐美は担任の澄子のことを、親しみを込めて「澄ちゃん」と呼んでいるらしい。みのりと澄子が親友ということは、生徒の間には知れ渡っているみたいだ。
「近場の旅行にでも行きたかったけどね。澄ちゃんは、進路会議で忙しいんだって。」
〝進路会議〟…と言って、みのりはチラリと遼太郎を見遣った。
みのりは、遼太郎が指定校推薦の選定をまだ受けていないのが、ずっと気にかかっていた。