Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「それで、時間は?」
みのりの問いに二俣は困惑し、遼太郎に助けを求めた。
「遼ちゃーん!2日の試合は何時からだったっけ?」
遼太郎は首をかしげながら、二俣の隣へやって来る。
「2時だったっけ?いや、1時半だったかな…」
と、遼太郎の方もはっきりしない。
「んもう、いいわ。江口先生に訊くから。」
みのりは呆れ顔でそう言うと、授業道具をまとめて教室を出ようとした。
「あっ、先生!江口っちゃんにわざわざ訊くことないよ。LINEしてる?友だちになろっ?」
二俣は、にんまりと笑った。
「残念でした。私、スマホじゃないから、LINEなんて知らないの」
「えっ?!今どき、スマホ持ってねえの?じゃあ、メアド教えてよ!後でメールするから。」
――江口先生に訊いた方が早いと思うんだけど……。っていうか、メアド教えろって!?
みのりは面食らって、二俣の顔を見つめ返す。
実際、生徒にメールアドレスを教えるのには、かなり抵抗があった。でも、これを撥ね付けてしまうと、「生徒を信用しないのか!?」と、この二俣ならば言いかねない。
みのりは眉間に皺を寄せて、二俣と遼太郎の顔を交互に見遣った。
二俣は満面の笑み、遼太郎はちょっと戸惑っているような表情をしている。