Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
みのりはため息を吐いて、閻魔帳に挟んであったペンを手に取った。
「ネットに書き込んだり、他の生徒に教えたり、イタズラメールを送ったりしないでね。」
そして、ノートの切れはしに、自分の携帯電話のメールアドレスを走り書きして、近い方にいた遼太郎に手渡した。
遼太郎は手のひらに載せられたメモを見て、目を丸くしてみのりを凝視した。それを見て、 みのりは面白そうに軽く息をもらすと、足早に教室を出ていった。
みのりは職員室に戻って、早速6月2日の予定を確かめてみた。
……しかし、午前中に箏曲部の練習が入っている。外部講師が練習を見てくれるのだが、こちらも6月中旬にある大会を控えているので、なおざりには出来ない。
――困ったなぁ……。
成り行き上だが、ラグビーの応援には行ってあげたい。でも、野原田競技場まで高速道路を飛ばしても、1時間はかかる。
――お昼にお琴の練習が終わって片付けが済んで…試合が1時半からだと、ちょっと厳しいかなぁ……。
みのりは、久しぶりのラグビー観戦を、ほとんど諦めていた。