Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 遼太郎の提案に、みのりは驚いたような顔をした。


「そうしてもいいけど…、狩野くんがそこまで日本史好きになるなんて、思ってもみなかったわ。」


――好きなのは、日本史の方よりも先生なんですけど……。


 遼太郎は本心が言えず、恥ずかしそうに首をすくめた。


「それじや、模試までは今まで通りでね。この間に、面接の質問の過去問を調べておいてね。」

「面接の……?」

「うん、進路指導室に行ったら、先輩たちが残してくれた資料があると思うよ。」

「はい、分かりました。」 


 遼太郎は心の中で、「やった!」とガッツポーズをした。
 これで、全県模試が終わっても、推薦入試があるまでは、みのりを独り占めできる時間が少しだけ延長できた。
 



 花園予選の3回戦目は、すっきりと晴れた日になった。澄み渡る青い空に、競技場の周囲に植えられている桜の葉の紅葉が映えて、一枚の絵のように美しかった。


 少し出遅れてしまったみのりは、試合が始まる15分前くらいに競技場に到着した。前回と同様ちょっと離れたところから観戦しようとしていたが、大分席が詰まっており、観客席の空いたところを探していた。


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