Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「指定校推薦が決まったのも、仲松先生のおかげだと、遼太郎も言っておりました。」


「えっ!?いえ、私は、あんまり関係ない日本史しか指導してませんから、多分私の力は関係なくて、狩野くんの実力だと思います。」


 あまりにも遼太郎の母親が持ち上げてくれるので、みのりは恐縮して緊張し、首を横に振った。


 「それに…」と、遼太郎の母は少し面白そうに、顔をほころばせて続ける。


「この前、遼太郎がいきなり『母さん、いつもありがとう』なんて言うから、何だか気持ち悪くって…」


と言って、息を漏らして笑いをこらえる。


「何でそんなこと言うのか問いただしたら、仲松先生から、『特にお母さんには感謝しなきゃ』…って言われて、その通りだと思ったから言ってみたらしいんです。」


 それを聞いた途端、みのりは顔を赤くする。


「あっ、そういえば、そんなことを言ったような気がします。でも、狩野くんは放課後は部活があるので、個別指導の時間を確保するには朝早くにせざるを得なかったものですから、お母様もお弁当を作ったりで早起きして頂いていることと思います。私も本当に感謝しています。」


 そう言って、みのりからも遼太郎の母に感謝の気持ちを表した。


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