Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「服の方は、もう浸み込んでしまってますね…。」


 みのりの前面は泥だらけで、もうタオルで拭いても再起不能だった。

 と言っても、拭いてあげている遼太郎の方がもっとひどく、ジャージのみならずパンツもストッキングも全身が泥だらけの状態だ。



「…狩野くん、あきれてるでしょう?こんなにドンくさいの、ありえないもの。」


 みのりが情けない顔をして、再び遼太郎を見上げた。遼太郎の微笑が、笑い顔になる。


「予想してたんで、あきれてません。」


 みのりは遼太郎のその言葉に絶句して、赤くなった。
 〝予想していた〟ということは、いつも自分がドンくさいことをしているということだ。

 恥ずかしくなって、下を向くと靴を履いていない。


「あれ?靴…。」


 キョロキョロと靴を探すと、倒れる時に飛んで行ったらしく、少し離れたところに転がっていたパンプスを、遼太郎が拾って持って来てくれた。

 片足立ちになってみのりがそれを履こうとすると、遼太郎はみのりの背中に手を添えて倒れないように支えた。



< 396 / 743 >

この作品をシェア

pagetop