Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「大丈夫ですか?先生。」
遼太郎は足を踏ん張り、みのりの両脇に手を差し入れて、ヒョイッとみのりを抱え起こした。
運悪く倒れこんだところには水たまりがあり、みのりの洋服は泥水にまみれていた。顔にも泥水が跳ね飛んでいる。
遼太郎に立たせてもらったものの、みのりは呆然として、自分に何が起こったのか、まだ完全に把握できていない。
遼太郎は部室へ取って返して、自分のバッグからタオルを取り出して持って戻ってきた。みのりはようやく状況に気づき、自分の姿を見下ろして情けない表情をしている。
そして、ハッとして手にあるファイルを確かめて、笑顔になった。
「よかった…。これは無事だった。」
遼太郎は腕を伸ばして、その笑顔を汚している泥水をタオルで拭った。
そのタオルの感触に気づいたみのりが、遼太郎を見上げる。
「わわ!狩野くん。これ、タオルが汚れちゃうから!」
みのりは慌てて、遼太郎の行為を拒もうとする。
「大丈夫です。まだ予備がありますから。」
遼太郎は優しく微笑した。
みのりを見下ろしながらその肩に手を添え、濡れて前髪が張り付く額から、顎の下に付いた泥水までも拭き取った。
みのりはしょうがなく、おとなしくされるがままになっている。