Rhapsody in Love 〜約束の場所〜

17 ほのかな想い




 遼太郎は、昨日の終礼の時と今日の朝礼の時に、みのりからの資料の束を受け取った。昨日の分は進路指導室の資料が中心で、今日の分はネットで集めた資料が主だった。


『今日の日本史の授業は、私がいないので、皆にはDVDを見てもらうんだけど、狩野くんは、その時にこの資料の分析をしてもいいよ!面接での質問を頭に置いて、目を通してね。
使いたい部分には、必ずチェックを入れておくこと!今日までに集められた資料はこれだけしかないけど、追って見つけられたら、また渡すね!』


 今日の方の分に、そう走り書きしてあった。
 今日は個別指導もないし授業も他の先生が監督にくるはずなので、みのりには会えないけれども、急いで書いたと分かるこの文字にみのりの息吹きが感じられて、遼太郎の心があったかくなる。


 読むだけで一苦労しそうな量の資料を、短時間で集められるみのりの能力に、遼太郎は改めて舌を巻いた。

 先週、あっという間に新聞記事を見つけられたことといい、忙しいにも関わらず授業の合間を縫って、自分の為にここまでしてくれることに、遼太郎には申し訳なさと淡い期待が入り交じった。


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