Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
みのりがそう語ると、澄子は無言で頷いた。
「ちょっとでも想いに揺らぎがあると、続かないものなのよ。それでも続いてるってことは…」
みのりはちょっとためらうように、言葉を措いた。
「…それだけ、想いが純粋で深いからだと思ってる。」
澄子は、みのりの心情が投影されたのか、切なそうな目でみのりを見つめた。
実際、結婚という保証はあり得ない相手だと分かっていても、求めて止まないのは、石原という人間をみのりが純粋に心から想っているからにほかならない。
澄子があきらめのため息を漏らし、首を緩く左右に振った。
澄子にはそう言ったものの、不倫関係という事実は、いつでもみのりの心に重くのしかかっているのも確かだ。
実はみのりは以前、石原に別れをほのめかしたことがある。ちょうど、初めて結ばれてから1年が経ったころのことだった。
『――いやだ……!!』
弾かれたように石原が反応し、いつもは温厚な表情を苦痛に硬くした。それからは、何を言っても石原は反発して、一切聞く耳を持ってくれなかった。
そんな石原を二度と見たくないと思ったみのりは、それきり〝別れ〟の話題は持ち出せなくなっていた。