Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「まさか!そんな時間ありません。スカイツリーのお土産は、空港とか色んなところで売ってるんです。」
「そうなんだ。でも、東京の大学に行くんだから、これからいくらでも行く機会はあるわよね。」
ストラップを見つめながら遠い目をし、みのりはしみじみとそう言った。
みのりの頭の中には、遼太郎が女の子と寄り添って、暖かな日差しの中、スカイツリーからの広大な東京の風景を眺める絵が描かれていた。
その女の子は、当然自分ではないことを自覚して、みのりの胸の疼きは足の先まで、その体を貫いた。
顔をこわばらせては、遼太郎に何かを気取られるかもしれない。みのりはストラップを見つめたまま無理に笑顔を作って、やるせない疼きが通り過ぎるのを待った。
そんなみのりの横顔を傍らで眺めながら、遼太郎は自分の心を確認していた。
――いつかそこに行くときには、きっと先生と……!
遼太郎は、スカイツリーの展望台にたたずむみのりの姿を思い描いた。
その向こうに広がる景色は、遠く東京タワーが臨める東京の夜景。
大都会のさんざめく光の中で、みのりの美しさが一層際立っている。そのみのりが振り向いて、今ストラップを見つめるのと同じように微笑む。
その視線の先にいるのは、遼太郎自身だ。