Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「実は9月に別れて、今はいません。」
「そうかぁ…。三十にもなれば、いろいろ経験している分、独りでいるのが寂しくなる時がないかい?」
「そうですね…。不安で…、寂しくなる時もありますね。」
予防線を張るために、嘘でもつきたいところだったが、本当のことしか言えなかった。
「だったら、俺がその…、寂しさを慰めてあげてもいいんだが…。」
――ああ、来た…!!
とうとう江口の口から飛び出したその言葉を聞いて、みのりは目の前が真っ暗になった。みのりは思わず立ち止まってしまい、目を逸らしたまま話していた江口も振り返った。
「江口先生…。その気持ちは嬉しいんですけど、大丈夫です。」
みのりはそう言って、やんわりと断ろうとした。けれども、江口の方も、勇気を振り絞って言い出している訳だから、簡単には諦めてくれなかった。
「いや…!ごめん!言い方が悪かった。俺に女房子どもがいるから、ああ言った方がいいかと思ったんだが。…その、俺、仲松さんのことが気になって、どうも好きみたいなんだ…。」
答えは決まっているのに、何と言って答えたらいいのか分からず、みのりは黙りこんだ。
みのりの心の柵を取り払おうと、江口は握った手にいっそう力を込める。