Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
先ほどの食事中とは、全く違う江口の声色に、みのりの緊張は高まる。
――このままじゃ、やばい、やばい!どうにかしなくちゃ……!!
とは思うものの、逃げ出すわけにもいかず、焦りは募った。
「仲松さんは、何歳になった?」
普通の話題に、みのりは少し胸をなでおろす。
「今年で三十になりました。」
「そうかぁ、もう三十か。最初に会ったのが、3年前に芳野高校に来た時だから、あの時は27だったのか。」
「正確に言うと、誕生日前だから二十六だったですけどね。」
と、みのりは少し息をもらした。
「あの時よりも…、綺麗になったな…。仲松さん。」
ポケットの中の江口の手に力が入り、みのりは再び息を呑んだ。
「ま…、また冗談を。年を取ってるのに…。」
苦し紛れのことを言って、何とか話を逸らそうとするが、声が震えているのが、自分でも分かる。
「年を取ったかもしれんけど、仲松さんは、その分綺麗になったよ。」
「……。」
綺麗だと言われて、こんなに困惑してしまうのは初めてだ。
「付き合ってる男はいるのかい?」
話が核心に近づきつつあるので、みのりは緊張で唇を噛んだ。