Rhapsody in Love 〜約束の場所〜
「…分かりました。先生、励ましてくれて、ありがとうございます。」
胸に渦巻く複雑な感情をようやく処理して、遼太郎は口を開いた。
息を吸い込んで、大きく溜息を吐く。
「でも、やっぱりこれは、先生から仲松先生に渡してください。」
そう言って、遼太郎はレジ袋を澄子へと手渡した。澄子がそれに言葉を返す前に、一礼すると駆け出し、あっという間に職員室から出て行ってしまった。
給湯室に取り残された澄子には、遼太郎の心の切なさが伝染していて、胸がドキドキと鼓動を打っていた。
何度も息を呑み込んで、胸を落ち着けようとしていたときに、職員室へ戻ってきたみのりの姿が目に映った。
「みのりさん。これ、狩野くんが。」
いきなり澄子に話しかけられたみのりは、一瞬戸惑ったようだった。
渡されたレジ袋に目を落として、もう一度澄子へと視線を移す。
「…狩野くん…?」
「そう、狩野くんがこれをみのりさんに渡してくれって、預かったの。たった今、ホントに今帰ったのよ。」
それを聞いたみのりは、急いで校門が見える方の窓辺へと走った。
窓から覗いて見ると、自転車に乗り、校門を出て第2グラウンドへ向かう遼太郎の、キウイが3羽並んだカンタベリーのウインドブレーカーの背中が見えた。