Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 箱に入れたそれらを見せると、教室中がどよめいた。後ろの方の席の二俣は、もっとよく見ようと、教卓のところまで走り出てきた。


「ちょっと待って。二俣くん。順番に配って回るから、作業しながら待っててね。」


「うおー、美味そう!これ、みのりちゃんの手作り?俺、もう作業終わったから、ちょっと味見…。」


 覗き込んで一つ摘まもうとする二俣のおでこを、みのりは軽く押して牽制した。


「待ってなさいって、言ってるでしょ!」


 いつもの調子の二俣に、みのりの笑顔がこぼれた。この可愛い二俣を教室で見るのも、今日で最後だ。


 みのりは可愛い生徒たちに囲まれる幸せを、改めて噛みしめた。
 今日配ろうと思っているクッキーは、せめてもの感謝を示したいと思い、せっせと夜なべをして作り、ラッピングしたものだ。


 みのりは作業している生徒たちの間を縫って、一人ひとり声をかけてクッキーを配って回った。


 ひたすら作業をしていて下を向いている遼太郎は、みのりが近くに来たことに気が付かないようだった。
 遼太郎の清書しているレポートを、みのりが覗き込む。その様子を、二俣と宇佐美と平野は横目で気に留めている。


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