Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



「狩野くん、今日中にそれ、終わりそう?」


 目の前にみのりが来ていたので、遼太郎は驚いて顔を上げたが、みのりの顔をろくに見もせずに、また目を伏せた。


「…はい。あと、これだけ書けば終わりです。あ…、先生。この写真をコピーしてもらって、ここに貼りたいんですけど…。」


「うん、分かった。放課後でいいかな?写真をコピーしてあげるから、その場でこれを貼って提出してね。」


「……はい。」


 遼太郎は、何かを意に決したような返事をした。
 みのりの方も頷いて、意を決したようにクッキーを差し出す。


「狩野くん、狩野くんと勉強できたのは1年間もなかったけど、本当にありがとう。狩野くんの努力は、本当に私の励みになったよ。大学でも、その調子でね。」


 いろいろ言いたいことはあったが、色々と考えた挙句、みのりはそう遼太郎へと言葉をかけた。

 思わず目頭がキュウっと熱くなる。声が震えてしまうのを必死にこらえて、何とかはなむけを言えた。

 他の生徒と違い遼太郎はきちんと立って、


「俺の方こそ、ありがとうございました。」


と、深々と頭を下げ、クッキーを受け取ってくれた。


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