Rhapsody in Love 〜約束の場所〜



 光の中で、風に乗って舞う雪も輝いている。
 自分を取り巻くその幻想的な様を、みのりは暫くたたずんで眺めていた。 

 まるでみのりを慕うように、ふわりと胸元に飛び込んできた一片の雪を、手のひらに受け止める。


 光に包まれるそのみのりの姿を、遼太郎はついに見つけた。

 走って乱れた呼吸を整える間、渡り廊下の端から、みのりを見守る。


 自分の呼気が冷気にさらされて白く漂い、それに光が反射して視界がかすむ中で、みのりはまるで幻のように儚げで、とても綺麗だった。


 部活で傷を負った四月のあの日、夕陽に照らされ、ここで同じようにたたずむみのりを見て、遼太郎の心は震え、傷の痛みさえ忘れた。

 全てがあの瞬間から始まっていたのだと、今は分かる。


 そして遼太郎は、自分の気配にさえ気づかずに、今みのりが見入っている光景に目を移した。

 雲と太陽が作るその光景に、遼太郎は呼吸さえも忘れてしまう。


 同じ時代に生まれて、同じ場所で生かされて、偶然作り上げられたこの光景をみのりと共有できた――。

 そのことを思うと遼太郎は、目には見えないものの力を感じて、全てのものに感謝したくなった。


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