Rhapsody in Love 〜約束の場所〜


 真っ黒に日焼けしたユニフォーム姿の遼太郎が、職員室に入ってきた。


「あー、職員室は涼しいですねー。」


 遼太郎は、答案で顔を扇ぎながら、みのりの元へ歩み寄る。


「外は暑いんだろうね。こんな暑い中練習なんかしたら、熱中症になりそうね。」


 みのりは手元にあった団扇で、遼太郎を扇いであげた。


「いや、気を付けてるし普段鍛えてますから、暑くてしんどいけど大丈夫です。それに、暑い間は屋内でストレングストレーニング…って、筋トレをして、夕方日が陰ってから、グラウンドで練習をするんです。…はい先生、これ。お願いします。」


と、遼太郎が答案を差し出す。


「ふうん、頑張るねぇ。……それじゃ、これ添削して机の上に置いとくから、私がいない時は持って帰ってね。部活が合宿してて、そっちに行ってるかも。」

「え、先生も部活?」

「そうそう、筝曲部……なんて、ダジャレみたい。」


 みのりがおどけた顔をすると、遼太郎はニヤリと笑い、会釈をして部活へと向かおうとしたが、足を止めて戻ってきた。


「あの先生、ラグビー部も明日から6日ほど合宿があるので、来れないんですけど…」



< 92 / 743 >

この作品をシェア

pagetop