地上182センチメートルを、キミと。
「・・・・・・・・なればイイじゃん、保育士。 何を悩んでるんだろう」
小春なら、四大だって短大だって無理なく入れる。
なのに、何で保育士を目指さないのだろう。
「・・・・・・・・・小春ちゃんね、昔、トモダチに『保育士さんになりたいんだ』って言ったらね『小春に〔高い高い〕とかされちゃったら、そのコドモ、トラウマになって高所恐怖症になっちゃうカモね。 小春の〔高い高い〕はまじで高いから』って笑われたんだって」
大志が床に視線を落とした。
「・・・・・・・・そんな事くらいで・・・・・・・」
馬鹿げてる。 そんなのコドモの冗談だろ。 笑い流しとけばイイのに。
「・・・・・・・・言うと思った。 うん、香川さんには分からないだろうね。 そんな風にイジられた事ないだろうから。 小春ちゃんだって受け狙いの冗談だって分かってるんだよ。 ・・・・・・・・香川さんはさ、冗談は他人を傷付けないと思ってるでしょ。 傷つく方が馬鹿だと思ってるでしょ」
大志はオレを見透かしていた。
『香川さんには分からないだろうね』
オレに、小春の心を開かせるのは無理なのカモしれない。
だって、やっぱりオレには分からない。
でも、分かりたいと思った。
小春と、大志と、分かり合えない事が
悔しかったから。