ヴァージン=ロード
「今日の撮影は、河島さん?」
「そうよー、ひできちゃんよ!」
ひできちゃんというのは、河島英輝さん。凄腕のカメラマンだ。
「えー、楽しみ!」
そんなこんなを話している間に、ジュエリーブランドの方とカメラマンの河島さんが入ってきた。
スタジオの入口には警備員の姿も見える。
「おはようございます!」
「おう、ISAKIちゃん、おはよう」
私があいさつすると、河島さんがあいさつを返す。ジュエリーブランドのスタッフの女性も頭を下げてきた。その白手袋に包まれた手には厳かに包まれたジュエリーボックス。今日のメインだ。
「本日の担当を務めさせていただきます。花岡でございます。よろしくおねがいいたします」
「本日はよろしくお願いします。御社のジュエリーを引き立てられるよう、尽力いたします」
私の言葉に、花岡さんは驚いたようだ。
「は、はい」
腑に落ちないような顔をしている花岡さんに、河島さんが微笑んだ。
「ISAKIは相変わらずだね。変わった人だろ、彼女。こんなに綺麗なのに、自分が一番だとか気負っていないんだ」
「河島さん、そんなこと言わなくていいんですよ」
私は河島さんの言葉に笑う。私が綺麗だとか、買いかぶりすぎだ。