ヴァージン=ロード

「モデルって、自我が強くて、目立つ子が多いけど、ISAKIは不思議だからなぁ。撮っていて飽きないよ」
「ふふ、ありがとうございます」

 私は笑いながら花岡さんに近づく。

「見せていただけますか、本日の主役」
「はい」

 花岡さんは恭しい手付きで、ジュエリーボックスを開いた。
 現れたのは、大小のダイヤモンドがちりばめられたシルバーのネックレス。写真で見たときも素晴らしいと感じたけれど、本物が持つ存在感と輝きはやはり素晴らしい。

「それでは、さっそく」
「はい」

 私はさっきまで座っていた席に腰を下ろした。コータさんが私の髪の毛を持ち上げ、花岡さんがネックレスを私に着ける。そしてコータさんが髪の毛を整えた。鏡に映る私は、とても綺麗に見える。

「じゃあ、始めようか」
「花岡さんはこっちでねー」

 コータさんが花岡さんをモデルやスタッフ達の使う控え室に連れて行く。それを見届け、私はセットの中心に立った。白い背景にゴシック様式のゴージャスな椅子。足元には赤いカーペット。

「じゃあ、まずは椅子に座ったやつから行こうか」
「はい」

 私は言われた通り椅子に座る。ライトが当たったその瞬間から、血が沸騰するような感覚と共に一切の余計な感情が消えた。
 河島さんがカメラのファインダーをのぞき込む。スタッフが光の加減を調整する。
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