まだ知らない愛。
「入れ」
「…」
不機嫌な声のくせにドアを開けてくれる優しさに矛盾していて。
玄関に入って靴を脱いだと同時に後ろから抱きしめられる。
「瞬さ…んッ」
首元に感じる瞬さんの吐息。
「お前、ちょっとは自覚しろよ…」
「え…?」
そう言って首を舐める瞬さんに鳥肌がたつ。
吐息がこそばゆくて変な声が出る…。
「瞬さ…」
私を抱き抱えてリビングを通り越し、奥の部屋の寝室へと入った。
カーテンは空いていて月の光が差し込んでいる。
ベッドサイドに置かれた観葉植物さえも綺麗に見える。
瞬さんはベッドに私をいつもより少しだけ乱暴に押し倒す。
「今日、いろんな男がお前を見てた」
「瞬さん…?」
私を覆う瞬さんは私の胸元へと顔を沈める。
「さっきも楽しそうに話してさ…」
さっき?…ヤクザのお兄さんのこと?
「お前…綺麗すぎなんだよ」
もしかして…。
自惚れかもしれないけど、もしかして
「瞬さん…、ヤキモチやいてくれてるの?」
そう聞くと瞬さんの肩は少しだけ揺れた。
胸元から顔を少しだけ上げて上目遣いで言う。
「悪いかよ…」

その顔は子供が怒られて拗ねたようなそんな表情であまりにも可愛くてその頭を撫でた。
するとまた照れた瞬さんが胸元に顔を戻す。
可愛い…
瞬さんは照れると顔を隠しながら上目遣いで見てくる。意外な一面に可愛くて愛おしい。
そんな瞬さんを知っている女の人は私だけだといいな。
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