同居相手は黒猫くん
〈室谷裕馬です。
さっきは勝手にごめんね、驚かせちゃったよね。
もっと比乃ちゃんと仲良くなりたいな。
これからよろしくね〉
放課後。
携帯を開くと、早速室谷先輩からメッセージがきていた。
私は緊張しつつもそれに返信する。
「比乃たい焼き」
必死に先輩への返事を打っていると、私の机まで刹がやってきた。
刹は自分の鞄をリュックのように背負い、キラキラした目でこちらを見下ろしている。
あ、そか。
たい焼き屋さんに行くって話してたっけ。
…刹、そんなにたい焼き楽しみだったんだ。
ちょっとだけ可愛いかも。
「刹って、たい焼きの中身は何派?」
「問答無用でカスタード」
「あはは、何それ。私もカスタード派だけどね」
「比乃カスタード好きなんだ?可愛いかよ」
「……え!?なんでよ!刹もカスタード好きじゃん!」
「ぷっ、比乃今ちょっと照れた〜。かーわい〜」
ケラケラと意地悪く笑いながら、刹はスタスタ教室を出て行った。
……ま、またからかわれた!
くっ、なんか悔しい。
それから私達はたい焼き屋さんへ向かうべく、学校を後にした。