シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
スーパーまで、自転車で約10分。もうすぐ12月だから少し寒くて、無意識にスピードも速くなる。


11月22日、〝いい夫婦の日〟に籍を入れたわたしたち。


〝ずっと、いい夫婦でいようね〟と、3年前の今日約束したんだよね。


けいちゃんとは、友達主催の飲み会で出会った。いわゆる、合コンってやつ。


同じ年で席も隣だったからなのか、意気投合し3回目のデートで告白された。


『付き合わない?』


そう言うけいちゃんは、ちょっと耳が赤くて、その姿がとても印象的だった。


『お願いしますっ』


そう言って、触れるだけのキスをしたのを今でも鮮明に覚えている。


その1年後の11月22日に、〝彩月とこのままずっと、一緒にいたいんだ。結婚してほしい〟とプロポーズされ、すぐに受けた。


それから3年。大きな喧嘩もなく、わたしたちは今日で丸3年目を迎える。


「ありがとうございます。またお越しくださいませ」


可愛らしい店員さんに見送られ、わたしはスーパーを出た。


「うわっ、さむっ……!!」


ブルっと身震いをして、また急いでわたしは家へと帰った。


家に着くとすぐに下準備を始める。


けいちゃんは夜7時にはいつも帰ってくるから、それまでにテーブルに並べておきたい。


「先にケーキ作っちゃおうかな?」


スポンジを焼き、生クリームを泡立て、デコレーションしていく。


途中、お昼を食べると、気付けば時計の針は午後3時になるところだった。
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