シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
「お邪魔します……」
「どうぞ」
「彩月、おはよう!」
「さっちゃん、おはよう」
「梨江子、匠哉さん。おはよう」


助手席のドアを開けると、梨江子と匠哉さんがうしろに座っていた。


梨江子は一瞬、なにかを言いかけたけど今じゃないと思ったのか、口を閉じた。


だからわたしも今は言うべきじゃないと、口を閉じるとそのまま、ともさんのとなりに着席した。


空港までは、だいたい30分〜40分で着くらしい。車で行くことにしたのは、スキーウェアや、いろいろな荷物が多いから。


わたしはスキー初心者ってことで、現地でレンタルすることにしたから、ほぼ手ぶら状態だ。


「彩月ちゃん、飴食べる?」
「あ、ありがとうございます」
「スキー、楽しみだね?」
「ですね。でもわたし、本当に初心者だから楽しめるかな……」
「大丈夫だよ。俺がいるし。手取り足取り教えてあげる」
「おい、こらー。そこ。セクハラだぞ、今の言い方」
「えー、マジでっ!?彩月ちゃん、ごめんっ。そういうつもりじゃなかったんだけどな……」
「い、いえっ……!」


匠哉さんの言うセクハラではないけれど、あの言い方って、ちょっと、よからぬことを想像してしまうというか……。


そんなこと考えてる時点で、わたしダメだよね……。でも空港までの道のりは、楽しくて久しぶりに笑った気がした。


だから、けいちゃんのことは忘れることができたんだ。ともさんだけじゃない。梨江子や匠哉さんがいたから、考えることもしないで済んだ。


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