シェリー ~イケない恋だと、わかっていても~
とっさに、ともさんが携帯を取り出し、どこかに電話をかけるようだった。わたしは、ただそれを見守っていた。


「おい、匠哉。お前さぁ、部屋の取り方おかしくない?なんで、ダブルベッドなんだよ。お前と俺が同室じゃなくてよかったけど、俺と彩月ちゃんがダブルベッドで寝るとか地獄だろうが」


電話の相手は、匠哉さんらしく。出た早々、文句を言ったともさん。わたしもビックリはしたけどさ、そんな地獄だなんて言わなくたって……。いくらわたしでも、それはヘコむんだけど……。


「いや、いいけどさ。ソファもあるし、ソッチで寝るよ。……は?あのなぁ、いくら手出さないつってもさ、同じベッドはさすがにヤバイっつーの」


え……地獄って、そういう意味……?ともさん、わたしが同じベッドにいたら、いくら手を出さないと言ってても、我慢できなくなるのかな……。って、わたしはなにを考えてるんだ……。


「あぁ。わかったよ、じゃーな。……あ、ごめんね彩月ちゃん」
「えっ?」


ともさんは電話を切ると、突然わたしに謝ってきた。考えごとをしていたわたしは、とっさに返事をするも声が裏返ってしまった。


「いや、俺も興奮して、匠哉にベラベラ言っちゃったから……その、地獄とかヤバイとか……」
「あー……。いえいえ、あのわたし気にしてませんから。地獄って聞こえた時は、さすがにヘコミましたけど、地獄の意味がわかりましたし……」
「なに、俺が彩月ちゃんと寝るのが地獄だと思ったの?」
「……えぇ、まぁ」


すると、ともさんはクスッと笑い、わたしの髪を耳にかけると、アゴを少しだけクイッと上げた。


「そんなワケないでしょ。こんなカワイイ子と一緒に寝られてイヤな男なんかいないって」
「え、いや、あの……」


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