ウソつきより愛をこめて
「いいよ」
「……えっ?」
あまりにもあっさりと了承した私にマリカが驚嘆の声を上げる。
「子育てなんてしたことないし、全く自信ないけど。まぁ何とかする」
「…エリ、」
「一ヶ月後、ちゃんと迎えに来るんでしょう?」
「あの…エリカ…」
「なに?寧々ちゃんの口調が悪くなっても、私のせいにしないでね」
「違くて…あの…、理由とか、聞かないの?」
「そんなの聞いたって、私は未婚だし当事者じゃないんだから、いいアドバイスなんて出来っこない。私はマリカが困ってるから助ける。…それだけ」
「エリカぁ…っ」
「泣き虫」
お腹の中にいた時から、一心同体の私たち。
世界中が敵になっても、私だけは愛しい片割れの味方でいてあげるんだ。
―――翌朝目覚めた寧々ちゃんは、最初ここがどこだか分からなくて、少しだけ不安そうな顔をしていた。
現れた私をじっと見つめるつぶらな瞳。
バレるわけないと思っていても、最初に何を言われるかと少しだけ不安だった。
「ママ…?」
「おはよう寧々。…今日からしばらく、ママとここで暮らそうね」
微笑みかけた私の言葉に、寧々は素直にこくんと頷く。
その姿がどこかいじらしくて、私は思わず小さな身体を抱きしめていた。
マリカの代わりに、私がこの子を守る。
…今日から私が、寧々の母親なんだから。