ウソつきより愛をこめて
「おい、何してるんだ。早く乗れ」
「…それってまさか、二人で出かけるってこと?」
「それ以外に何がある」
たどたどしく疑問を口にした私に、後ろにいる橘マネージャーが間髪いれずに答えてくる。
今までは必ずそばに寧々がいたから、橘マネージャーと完全にふたりきりで過ごしたことなんてなかった。
付き合ってた時ですら、こんなに日の高いうちから出かけたことないのに。
「なんでそんなに恥ずかしがってるんだ。…今更だろ」
そう言われて自分の顔が赤くなっている事に気づき、俯きながら両手で顔を覆ってしまう。
隠したって、もうどうにもならない。
耳まで赤くなっている私を、橘マネージャーは一体どんな表情で見下ろしているんだろう。
「お前は…もう、…なんでこういう時に…」
頭上から呆れたような声が聞こえて、私はびくっと肩を揺らす。
自意識過剰なのは自分でもよくわかってる。
女の人と二人で出かけることなんて、橘マネージャーにとってはなんでもないような事なんだから。
「……!」
あっという間に腰と太ももの裏に回ってきた手が、軽々と私を持ち上げる。
背中に座り心地のいいシートを感じた時、私の心臓は狂ったように早鐘を打っていた。
「…誰にも見られたくないから、そのまま顔隠しとけ」